懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
経営戦略室の室長時代に手がけた新規出店の開発が軒並み成功を収めているのは有名な話で、副社長に就任してからも方々へ足を運んでいるらしい。
随分とんでもないポジションに来ちゃったな……。
端麗な顔に見惚れながらそんなことを考えていると、不意に亮介の目が里帆のほうへ向けられた。急いで視線を逸らしたものの、コンマ一秒ほど反応が遅れる。おかげでほんの一瞬だけ重なり、ものすごく気まずい。
やだな。今の反応、明らかにおかしいよね。
焦っている里帆の視界の隅で、亮介が微笑む気配がした。