懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました


前任者がいるわけではないため、仕事はまっさらの状態。ほかの役員に就いている先輩秘書に業務を教えてもらう部分はもちろんあるが、亮介に快適に過ごしてほしいため自分から積極的に仕事を探しにいく部分もある。

亮介はもともと自由奔放な性格のようで、言動にいきなりが多い。これまで秘書をつけてこなかったせいもあるかもしれないが、基本的に何事もひとりで決めてしまう。

とはいえ、秘書にいちいちお伺いを立てる必要もないだろうが。


「でも正直なところどうなの? 女子社員みんなの憧れの的のそばで仕事する気分は」


由佳が興味津々といった様子で大きな目を見開く。


「どうって聞かれても……」
「ドキドキして仕事どころじゃないんじゃない?」
「そんな余裕はありません」


おもしろがる由佳にきっぱりと返したものの、正直に言うとドキッとさせられることはある。

なにしろあの容姿なのだ。デスクで考えごとをしていても、取引先と談笑していても、歩いているだけでも、とにかくなにをするにも様になるのだから。
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