懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました

本当に唐突だ。


「秘書はそういうものじゃないのか?」
「……そう、ですね」


言われてみればそうである。仕事中は上司と行動を共にするのが秘書の務め。


「すぐに準備します」


里帆は素直に応じ、パソコンをシャットダウン。脇のキャビネットに入れてあるバッグを取り出した。

亮介に続いて副社長室を出て、エレベーターに乗り込む。最上階の二十七階から止まることなく下りていく。


「副社長、スケジュールのことなのですが、できれば変更があったときに私にもお知らせいただけるとありがたいのですが……」


里帆を通して連絡が入れば把握できるが、亮介の場合、これまでに秘書がいなかったため直で電話がかかってくることも多い。そうなると亮介から教えてもらえない限り、里帆にはわからないのだ。

亮介はなんでもひとりでこなしてきたから、それをなんとも思わないのだろう。
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