懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
「そうだな。悪かった」
「あ、いえ、こちらこそすみません」
あっさり素直に謝られると居心地が悪い。
「今後について車で打ち合わせしよう」
「よろしくお願いします」
里帆が頭を下げたところで一階に到着した。
先に亮介が連絡を入れてあったらしく、エントランス前には役員ならば誰でも使える車がつけられている。そういった連絡系統も任せてもらえるようにお願いしようと考えているうちに、運転手が降り立ち後部座席のドアを開けた。
亮介に続いて里帆も乗り込む。高級車ならではの黒いレザーシートは程よい張りがあって、座り心地がとてもいい。
「立川さん、スマホ出して」
「私のですか?」
「もちろん」
バッグのサイドポケットに入れたスマートフォンを取り出す。業務用として会社から支給されたものだ。
「そこにスケジュール管理のアプリが入ってるだろう?」