懐妊秘書はエリート社長の最愛妻になりました
亮介が里帆の手もとを覗き込む。
「えーっと……はい、あります」
まだ使い慣れていないため、画面の上で指先が迷う。
手帳が描かれたアイコンをタップするとカレンダーが表示された。月次、日次、時間単位で入力・管理ができるようになっている。
「俺のスケジュールを立川さんも共有で書き込みできるようにするから、そこでお互いに確認していこう」
なるほど。そんな使い方もできるのか。
「ありがとうございます」
スマートフォンから目線を亮介に移すと、思いのほか近くに顔があった。
他意がないのはわかっていても、パーソナルスペースに異性が入り込めばドキッとするのは当然。それが亮介のように恵まれた容姿で、みんなから羨望の眼差しで見つめられるような男性であればなおさらだ。
里帆は不自然に目を逸らして、アプリの確認をしているふりをした。