たとえば、こんな人生も
離れることに寂しさを感じる

ただいまやおかえりを
言い合う事ができなくなるのも

一緒にごはんを食べれなくなるのも

他愛ない話ができなくなるのも



……でも



ずっと一緒にはいられないから



「そっか」



……いつきさんの表情が、声が

残念そうに見えたのは、聞こえたのは


私の願望なのかな



「じゃ、ご飯食べよっか」


いつきさんはぱっと
表情を明るく切り替えて、私に笑いかけた



――…



「…」


ベッドの上で
クッションを抱き締めてひとり笑う



『すごく美味しい』


『本当に作るの上手になったね』


『ありがとう』



いつきさんがくれた言葉が
笑顔がずっと頭から離れない


お礼の料理はすごく気に入ってくれたみたいで、おかわりもたくさんしてくれた


……嬉しい

喜んでくれて良かった


緩んだ表情のまま
抱き締めたクッションに
ぎゅーっその気持ちを押し付ける
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