上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
〝人を好きになることはないと思う〟なんて、周りの人間を突き放すように言ったかと思えば、こうやって私に対して意味深な言動を繰り返す。

「おうい、羽場さん。ボーッとしてるとはぐれるわよ」

いけない。
言いたいことはあるけれど、せっかくの飲み会なんだし、楽しまないと。



川北さんの予約してくれたお店は、駅から一本裏道に入ったところにあった。
案内されたのは、個室の掘りごたつの部屋で、とても居心地がよさそう。

「ここね、ふっつーの居酒屋に見えるけど、料理がどれも美味しいんですよ」

「楽しみだな。でも、とりあえずビールだな。二人ともそれでいいか?」

早速ビールを注文して、メニューを眺める。

「料理はまず、私のお勧めを頼んじゃっていいですか?」

「お願いします」

「おう、じゃんじゃん頼んじゃって。今日は俺の奢りでいいから」

「やったー!!三上さん、ごちになります!!」

遠慮のかけらもない川北さん。

「羽場ちゃんも、川北さんみたいに、遠慮せずに喜んじゃってよ。素直に喜んでくれた方が、上司としては嬉しいんだぞ」

「はい。ありがとうございます」

私が遠慮がちにしてたのを見透かした三上さんの言い回しに、おもわず笑みを浮かべてお礼を述べた。

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