上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「えっ、ちょっと羽場さん!?」

川北さんも慌てて、おしぼりを手渡してくる。

……おしぼり?

首を傾げる私に、川北さんが言う。

「羽場さん、気付いてないの?あなた、泣いてるわよ」

「えっ……」

頬に手を当ててみると……確かに。
そっかあ。だからさっきから視界が曇ってたのか。

おしぼりでそっと拭いながら、なんとか「ごめんなさい」とだけ言った。
ふたりは気まずくならないように、気を遣って茶化してくれる。

「羽場さん、ビール飲み過ぎじゃない?目から溢れちゃってるわよ」

「俺の語りが素晴らしすぎたか?迫真の演技だったろ?」

「そ、そうですよ。話に引き込まれちゃうは、おもわず飲みすぎちゃうわ……もう!見せないって宣言してたプライベートな私が、ちょっとだけ漏れ出ちゃったじゃないですか」

「羽場さんいい!!無理にプライベートを話さなくてもいいけど、その感情豊かなところは、どんどん見せていくべきよ!」

「そうだぞ。やっぱり羽場ちゃんはいい子だよ」

「あ、ありがとうございます」

照れ笑いでごまかしながら、もう一度涙を拭った。


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