上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「気を悪くしてませんか?」

不安になって、三上さんの表情を窺う。怒ってはいないみたいだけど……

「ああ。隠してるわけでもないし。それに……羽場ちゃんは俺の話に涙を流してたから。逆に聞いてもらってよかったと思ったぐらいだ」

私は、傷付いた三上さんに、何かをしてあげられたわけじゃない。それどころか、いつもツンツンして、可愛げのない姿ばかり見せてきた。
それなのに、私に辛い思いをした話をしてよかったと、三上さんは言う。

「私……可愛げのない部下ですよ。それなのに、そんなふうに言ってくれるなんて……」

「いいや。羽場ちゃんが優しい子だって、俺は思ってるから」

三上さんの言葉に、胸の奥が暖かくなる。
それと同時に、実の両親や地元の知人達のことを、こっちでは必死に隠し、それなのに、地元では昔からの仲間だと、大切に思っていると振る舞う。それは作り物じゃなくて、本当の思いだけど……
自分の矛盾した姿が、心底嫌に思えた。




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