上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
週末は、溜まっていた家事を片付けたり、食材の買い出しに出かけたりしていた。でも、ふとした合間に、どうしても三上さんのことを考えてしまう。
抱きしめられた時に感じた安心感を思い出しては頬を赤らめ、〝親友〟という言葉を思い出しては、なぜか気分が沈むのを繰り返していた。

学生の時以来の、この落ち着かない気持ちの正体は、なんとなくわかっている。

でも、認めるわけにはいかない。

ううん。ただ怖いだけなのかもしれない。またあの時みたいに、私の家族や地元の知り合いを知った途端、掌を返したように去って行かれるのは辛い。
だったら、何も望まないで、上司と部下という心地よい関係を壊したくない。

それに…………

三上さんは、〝人を好きになることはない〟って言ってた。そんな人に想いを寄せても、どうしようもない。

気付いてしまった自分の気持ちにそっと蓋をして、いつも通りの自分でいようと、ずっと言い聞かせていた。



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