上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
19時を少しすぎた頃、玄関の鍵を開ける音がして、盛り付けをする手を止めた。

「おかえりなさい」

「ただいま。すごくいい匂いがする」

日曜日に別れて以来の涼介さんは、ここ数日、本当に忙しかったようで、顔に疲れが浮かんでいた。

「すごく忙しそうだね」

「ああ。ちゃんと話をする。でもその前に、しおりが作ってくれたご飯を食べたい」

涼介さんが着替えている間に盛り付けを終わらせて、テーブルに並べて行く。

「ああ、部屋片付けてくれたんだ。ありがとう。お待たせ。食べよう」

「うん」

とりあえず、今は食事に集中する。簡単なものばかりだけど、涼介さんが「美味しい」って何度も褒めてくれて、この後のことを考えて緊張していたけれど、次第に解れていった。




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