上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「私がいたから……?」

「そうだよ。しおりのおかげだよ」

「私のおかげ……」

ああ、そうか。
私はまた、同じ過ちをおかすところだったのかもしれない。
誰だって、親を選んで生まれるわけじゃない。それは自分自身が身に染みてわかっていることだ。

「涼介さん……私は、周りにいた人達と同じで、他人の目を気にしたり、自身の内に偏見の目を持っていたんだね。涼介さんは、こんなにも私のことを考えてくれてるのに」

「しおり。しおりが不安に思ったことを全部話してよ。一緒に考えてみよ」

涼介さんは私の横に座り直すと、肩を抱き寄せてくれた。肌に感じる温かさに、次第に落ち着きを取りもどした。


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