上司の過去と部下の秘密〜隠れ御曹司は本気の恋を逃さない〜
「これ、俺の黒歴史ってやつかな。ちょうど親が離婚した頃で、他にもいろいろ重なって荒れてた。ほんの一年ぐらいの間なんだけど……」

うそでしょ?
幼さは微かに残っているけど、言われてみれば写真の中の男の子は確かに涼介さんだ。
その雰囲気は、実家にいる頃には見慣れていた、まさしくヤンキーだ。

いろいろ考えていると、耐えられないと言うかのように、写真を取り上げられた。

「この頃のことは、親父ももちろん知っているし、なんとかしようと俺に接触してきてた。そのたびに、汚い言葉遣いで酷いことを言った。もちろん、和解はしてるけど。つまり、こういう俺に接してきた親父は、ある意味慣れてる」

「……なんて言ったらいいのか……」

「いや。あえてそこは笑い飛ばして欲しい。でないと、俺がいたたまれない」

涼介さん、恥ずかしそうに耳の後ろを掻いている。その姿を、ちょっとだけ可愛いと思ってしまった。

「まあ、だから……つまり、免疫のある親父は、さほど気にしてない。それに、しおり自身の仕事ぶりも知ってるから。そういう意味でも、しおりのことを認めている。
しおり、他に不安なことは?」


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