エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「それじゃあ予約」


彼はそう言うと私の手を不意に握り、自分の小指と絡ませる。

こんなふうに触れられると、胸が苦しくなるのに。

私は激しくなる鼓動が彼に聞こえていないかひやひやしながら、笑顔を作った。



翌日も和宏は元気いっぱい。
宏希さんが園に顔を出してくれたおかげで、その後は友達からなにも言われなくなったらしい。

ボタンの掛け違いを宏希さんに笑われて、「はめてー」と甘えていた姿が微笑ましかった。

しかし、宏希さんは簡単には手を貸さず、外すのだけ手伝ってもう一度自分でやらせている。

それも全部、和宏の成長を見越してのことだと思う。


朝の忙しい時間にそんなふうに言われたら、私なら間違いなく手伝ってしまうところだ。

ふたりのやり取りを見ていると、なんでも手を出すのはよくないと反省した。


宏希さんのこうした姿勢は仕事でも同じ。
後輩が失敗しても、必ず自分で責任を取らせていた。

けれども手伝わないわけではなく、要所要所で的確なアドバイスをして、成功に導いていく。
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