エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
すると彼は、なにやら含み笑いをしている。
どうしたのだろう。
「雨上がりだから水たまりがいっぱいあってさ……」
「あっ! 水たまりトラップに引っかかりました?」
だから遅かったのか。
和宏は水たまりが大好きで、つい遊びモードに入ってしまうのでなかなか足が進まないのだ。
「あはは。トラップって……」
彼はカップをテーブルに戻して肩を揺らしている。
「だって、ずーっと水たまりに反射する自分の姿を見てるんですよ。そのうち手で突っつきだして……」
「うんうん、そんな感じだった。今日は葉っぱを浮かべてたなぁ。でもいいと思うよ。好奇心は潰しちゃいけない。波多野さん、いつも付き合ってきたんだろ?」
「はい。自然現象に興味を持つのは悪くないと思って。でも仕事があるので、内心『早く!』と焦ってました」
正直に打ち明けると彼は口角を上げている。