エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
彼の記憶から自分が消えていると知ったときは地獄の苦しみを味わった。
しかし、再会して彼も苦しんでいることを知ってからは、きっと同じ胸の痛みを抱えているのだろうなと感じている。
「俺とデートしてくれないか? できれば付き合っていた頃によく一緒に行った場所に行けるといいんだけど、覚えてなくて……」
「わかりました。私が」
私は全部覚えている。
もし記憶を取り戻すことができなくても、あの頃のことを思い出して、今日一日を楽しもう。
そんなふうに思いながら、私たちは家を飛び出した。
どこに行くか迷い、最初は小高い丘の上にある知る人ぞ知る公園に行くことにした。
なにがあるわけでもないけれど、休日によくふたりで出かけては遠くに見える海を眺めていた。
宏希さんは忙しく走り回り責任ある仕事も任せられていたので、ときには頭をすっからかんにする時間が必要だったのだ。