エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
ここには建物の中心に中庭があり、季節のいいときはそこでも本が読める。
「俺、そんなに小説を読む習慣がないんだけど……」
「はい。宏希さんがここによく来ていたのは、えーっと」
私は館内配置図を確認して足を進める。
「この辺りの書籍を手に取っていたんです」
この棚はスポーツ関連の書籍ばかり。
自分がその競技をすることはなくても、トレーニング方法やそのスポーツの歴史などを調べて、選手と折衝する際に役立てていた。
会話が弾むと相手も心を開いてくれるからと。
本当に真面目な人だ。
「そうか。そんな活用の仕方を……。記憶を失う前の俺のほうが優秀だったのかもね」
「今は取締役なんですよね。お仕事の種類が違いますから」
営業統括部の部長も兼任しているとは言っていたけれど、さすがに選手との折衝までは自分でしないだろう。