エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「うん。今は部長補佐って形だけど、実質的な営業統括部のドンだな。忍がいなくなって一番落ち込んでいたのはアイツだ」
宏希さんの記憶がなくなったとき、私を支えてくれたのは沖さんだ。
彼になにも言わずに消えたことは申し訳なく思っている。
でも、あのとき会ってしまったら……お父さまに手切れ金を渡されて、別れを迫られたことを話してしまいそうで怖かった。
それが宏希さんの耳に入れば、ただでさえ記憶をなくして不安な彼を余計に苦しめることになると思ったのだ。
それに、どうしても和宏を産みたかった。
「そう、でしたか」
「実は、忍と一緒に暮らしていることは話してあるんだ」
彼はサッカーの本を取り出してパラパラとめくりながら話す。
「えっ……」
「和宏くんがいることも、俺の推測も全部」
推測って……和宏が自分の子だということ?
「そうしたらアイツ……思い出せないなら、もう一度始めればいいと」