エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「仕事思い出した。先に帰るわ。お前たちはもう少しゆっくりして。浅海、ごち」
「本気かよ」
宏希さんは苦笑しているが、最初からそのつもりだったと思う。
沖さんは、気を利かせてふたりにしてくれた気がした。
「仕事の話、断ってもいいよ。和宏くんはまだ手がかかるし、波多野さんの負担が増えるから」
「でも、本来なら浅海さんにお世話になっているのがおかしな話ですし――」
「俺をひとりにしないでくれ」
まっすぐ前を見据えたまま絞り出した彼の声が切なげで胸がつぶれそうだ。
「ひとり、に?」
「波多野さんをようやく見つけたとき、神さまに感謝した。そりゃあ、和宏くんがいたのには腰が抜けそうなほどびっくりしたよ?」
彼はそこまで言うと、私のほうに顔を向け、真摯な視線を投げつけてくる。
「でも、ずっと俺の写真を持っていてくれたことがすごくうれしくて。記憶は抜け落ちていても、頑張り屋の波多野さんが俺の理想の女性だということは、はっきりとわかった」