エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
丁度病棟に移った頃、廊下からバタバタという激しい足音が聞こえてきたと思ったら、宏希さんの両親が走り込んできた。
宏希さんとどことなく目元が似ている社長の顔はもちろん知っているが、個人的に対面するのは初めてだった。
宏希さんが結婚の相談をしても、面会すら許されなかったからだ。
「宏希!」
両親は私のことなんて眼中にないという感じでベッドの横に駆け寄り、彼の顔をのぞき込む。
「宏希、どうしたの? 返事なさい!」
お母さまが真っ青な顔をして畳みかけるも、反応はない。
「君は宏希の……。どういう状態なんだ?」
お父さまがやっと私のほうを振り返り尋ねてきた。
「頭を強く打って、脳震盪を起こしたそうです。でも異常はなく、一時的に意識をなくしているだけですぐに回復すると」
「宏希……」
私が先生に聞いたままを伝えると、お母さまは涙を流し宏希さんにすがりついた。
「波多野さんだね」
お父さまが怒りを纏った視線を私に投げつける。