エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
そのとき、再びノックの音がして看護師さんが入ってきた。
入院手続きもすべてやってくれた高原(たかはら)さんだ。
「そろそろ夕食の時間なんですが、無理そうですね」
高原さんは和宏のところに歩み寄り、首筋に触れている。
熱を診ているのだろう。
「和宏は、大丈夫でしょうか?」
「点滴でお薬を入れてますし、すぐによくなりますよ。お母さん、焦られたでしょう?」
「……はい」
正直に答えると、高原さんは柔らかい笑みを浮かべる。
「実は私にも一歳半になる女の子がいまして。看護師をやってますけど、熱を出すたびにヒヤヒヤなんです。それで、あのとき体を冷やしたせいだとか自分を責めたりして……。自分の子になると冷静にはなれません」
医療に関わる人でもそうなるの?
「お父さん。母親はいつも初めてと闘っています。経験したことのない事態が起こっても、なんとかして乗り越えなくてはなりません」