エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
沖さんがそんなことを?
彼は会議に行っていてこの部屋にはいない。
「大げさですよ。他の皆さんの分も淹れてきますね」
「俺も手伝います」
坂田さんは給湯室に付き合ってくれた。
「そういえば、今朝バカな噂を聞きまして。波多野さんのお子さんが、浅海専務の隠し子だとかなんとか。そんなわけないだろって一喝しておきましたけど」
彼は屈託のない笑顔を見せるが、私は顔が引きつっていた。
やはり、その話は広がっているんだ。
「ありがとう、ございます。……あっ!」
しどろもどろになりながら返したが、動揺してコーヒー豆を落としてしまった。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい」
慌てて掃除しようとモップに手を伸ばしたとき、「波多野さん」と私を呼ぶ男の人の声がして顔を上げる。
銀縁メガネの背の高い人は、誰だろう。
「はい」
「社長秘書の佐藤(さとう)です。ちょっと社長室までよろしいですか?」
「えっ……。はい」