エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
社長室のドアの前で足を止めた佐藤さんは、事務的にそう言ったあとノックをした。
すると「はい」と社長の声がして、背筋が自然と伸びる。
「波多野さんをお連れしました」
「入りなさい。佐藤は外して」
「かしこまりました」
社長室に足を踏み入れると、佐藤さんは出ていった。
大きなデスクの前には、ダークブラウンの革張りのソファとテーブル。
ここで、お客さまをもてなすこともあるのだろう。
社長室は広く、落ち着かない。
私は数歩入ったところで直立不動だった。
「久しぶりだね」
好意的な発言のように聞こえるが、声に怒気が含まれているのを感じる。
「はい。ご無沙汰をしておりました」
私は視線をあわせることができず、目を伏せたままお辞儀をした。
「舞い戻ってくるとは、どういうつもりだね」
声に抑揚がなく冷静に話しているように見えるが、さっきからデスクを指でトントンと叩いている。
イライラしていることはすぐにわかった。