エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

社長室のドアの前で足を止めた佐藤さんは、事務的にそう言ったあとノックをした。

すると「はい」と社長の声がして、背筋が自然と伸びる。


「波多野さんをお連れしました」
「入りなさい。佐藤は外して」
「かしこまりました」


社長室に足を踏み入れると、佐藤さんは出ていった。

大きなデスクの前には、ダークブラウンの革張りのソファとテーブル。

ここで、お客さまをもてなすこともあるのだろう。


社長室は広く、落ち着かない。
私は数歩入ったところで直立不動だった。


「久しぶりだね」


好意的な発言のように聞こえるが、声に怒気が含まれているのを感じる。


「はい。ご無沙汰をしておりました」


私は視線をあわせることができず、目を伏せたままお辞儀をした。


「舞い戻ってくるとは、どういうつもりだね」


声に抑揚がなく冷静に話しているように見えるが、さっきからデスクを指でトントンと叩いている。

イライラしていることはすぐにわかった。
< 221 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop