エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
お金と宏希さんを天秤にかけられるわけがない。
私は、ただ和宏を産みたかったから引き下がっただけだ。
お腹の子の存在が知られて、堕ろせと言われるのが怖かった。
「お金は宏希さんに――」
「なにしてるんですか!」
そのとき、ノックもなく突然ドアが開いて宏希さんが入ってきた。
振り向いた瞬間彼と視線が絡みあい、一気に酸素が肺になだれ込んでくる。
私の隣に歩み寄り腰を抱いた宏希さんは、社長に鋭い視線を向けて口を開いた。
「彼女になんの用です?」
「それはお前が一番よくわかっているだろ。今日を以って解雇だ。今後一切関わるな」
宏希さんは私から離れ、冷たい言葉を吐き捨てた社長の目の前まで歩いていく。
「彼女の仕事ぶりを見たことすらないですよね。有能な社員を切るなんてトップの目が腐っていると評判が立ちます」
「それでも構わん。彼女だけは許さん」
社長の声がグサグサ突き刺さり、歯を食いしばる。