エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「宏希さんは私と和宏を守ってくれたんです。突き飛ばしてくれなければ、私がひかれていました。私も和宏もこの世にいなかったかもしれないんです」
記憶が飛んでしまったのは、彼のせいではない。
責任を感じてほしくなくて、必死に訴える。
「けど、あんまりだ……」
彼の苦しみが伝わってきて、私もつらい。
けれど、彼から離れた私はあえて笑顔を作り、視線をあわせた。
「宏希さんのおかげで、和宏が産まれてくれました。それ以上に望むことなんてありません。それに……和宏に対しても責任を感じないでください。産むと決めたのは私です」
「忍はまだ俺を拒むの?」
「えっ……」
彼は私を壁に追い詰め、挟み込むように両手をついた。
「もし記憶が戻らなくても、忍と和宏が大切だと言わなかったか? 和宏が俺の子でなかったとしても、家族になりたいと本気で思ってたんだ」
彼の気持ちに偽りがないことに気づいていたのに、私は怖かったのかもしれない。
愛される幸せを覚えると、失ったときの絶望に耐えられなくなる。