エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
なにかあったの?
緊張で呼吸が苦しくなるのを感じながら病室に飛び込むと、ベッドに横たわる宏希さんの目が開いていて、一気に気持ちが高揚する。
「よかった……」
思わず漏らしたひと言を沖さんに拾われて、肩をポンポンと叩かれた。
「お名前言えますか?」
「浅海宏希です」
「年齢は?」
「三十です」
先生の質問に、はっきりとした口ぶりで答える姿を見て、ホッと胸を撫で下ろす。
「あの、ここは? 俺はどうして……」
宏希さんがそう口にしたとき、事故のことを覚えていないのだと悟った。
「浅海さんは、恋人をかばって車にはねられたんです。それで、脳震盪を起こしたんですよ」
先生がゆっくりとした口調で話しかけると、宏希さんはキョトンとしている。
脳震盪のせいで一時的に記憶が混乱しているだろうと思った瞬間。
「恋人? 俺、付き合っていた人がいたんですか?」
衝撃的なひと言が耳に届いて目を瞠る。