エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「浅海、波多野だぞ。わかるだろ?」
同じように目を丸くしている沖さんが、私の腕を引き彼の前に立たせた。
「沖か……。来てくれたのか、悪いな」
宏希さんはそう言ったが、表情を硬くしたまま私をチラリと視界に入れる。
「波多野さん、ですか……」
「え……」
他人行儀な呼び方をするのは、両親の前だから?
「すみません、どちらさまで……」
私のことがわからない、の?
信じられない発言に驚愕し、瞬きすることすら忘れて呆然と立ち尽くしていた。
「波多野忍さんだぞ。お前がべた惚れしてた彼女じゃないか」
沖さんが畳みかけるも、宏希さんは眉をひそめるだけ。
沖さんのことはわかるのに、私の記憶はないの?
「浅海さん、こちらはどなたかわかりますか?」
私たちのやり取りを見ていた先生が、お父さまのほうに手を向ける。
「えぇ、父です。それと母」
覚えていないのは私だけ?