エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

「浅海さん、お仕事はなにを」
「レーブダッシュというスポーツ用品メーカーの営業統括部にいます」


淀みなく言葉が出てくるのに、私の存在だけがなかったかのように消されている。


「なるほど。少し混乱されているようですね。今日はゆっくりお眠りください。痛いところはありませんか?」
「はい、大丈夫です」


先生に返事をした宏希さんは、もう一度私と視線をあわせたがその瞳は無反応で、まるで代わり映えのない景色でも見ているかのようだった。


「波多野さん、少しよろしいですか?」
「……はい」


私は先生に呼ばれて病室をあとにした。

もう宏希さんの顔を見ていられなかった。『あなたは誰?』と言いたげな瞳がつらくて、とても無理だった。


「波多野、俺も行く」


沖さんも付き添ってくれると言う。
心配しているのだろう。

先生はカンファレンスルームに私と沖さんを案内して、別の先生を呼びに出ていった。
< 27 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop