エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
仕事ではどんなことがあっても動じない宏希さんだが、珍しく緊張の面持ちで何度も瞬きを繰り返している。
私も息を呑んで返事を待った。
「パパなんていらないよ」
和宏のひと言が胸に突き刺さる。
父親がいないのがあたり前になっているからだろうか。
「そうか……」
肩を落とし気味に声を振り絞った宏希さんだけど、和宏を思ってか笑顔を作る。
「そうだよね。変なこと聞いてごめん」
三人で家族として暮らしていくのは無理なのかな。
それとも、時間が解決してくれる?
そんなことを考えながら、和宏の頬についたクリームを拭うと、ゴクンとケーキを飲み込んでいる。
「和宏、あのね……」
「波多野さん」
なんとか取り付く島がないかと口を開いたが、宏希さんが首を横に振っている。
焦っちゃダメだ。
「ママの作ったケーキ、最高だな」
「うん! 浅海さん、ケーキ作れる?」