エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

仕事ではどんなことがあっても動じない宏希さんだが、珍しく緊張の面持ちで何度も瞬きを繰り返している。

私も息を呑んで返事を待った。


「パパなんていらないよ」


和宏のひと言が胸に突き刺さる。

父親がいないのがあたり前になっているからだろうか。


「そうか……」


肩を落とし気味に声を振り絞った宏希さんだけど、和宏を思ってか笑顔を作る。


「そうだよね。変なこと聞いてごめん」


三人で家族として暮らしていくのは無理なのかな。
それとも、時間が解決してくれる?

そんなことを考えながら、和宏の頬についたクリームを拭うと、ゴクンとケーキを飲み込んでいる。


「和宏、あのね……」
「波多野さん」


なんとか取り付く島がないかと口を開いたが、宏希さんが首を横に振っている。
焦っちゃダメだ。


「ママの作ったケーキ、最高だな」
「うん! 浅海さん、ケーキ作れる?」
< 267 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop