エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「オムライス、オムライス!」
はしゃぐ和宏は、無意識なのか宏希さんの手を握って引っ張る。
本当なら、こうして幸せに暮らしていたはずなのに。
切ない感情がこみ上げてきて、目を伏せた。
三人ともオムライスの注文をすませたあと、私と和宏の向かいに座った宏希さんが口を開く。
「和宏くん、何歳?」
「四歳」
「誕生日はいつ?」
もしかして……。
質問の意図に気づいてしまった私は焦ったが、和宏を前にしてなにも言えない。
「十二月十六日だよ」
「そっか」
宏希さんは和宏ににっこり笑ったあと、私をじっと見つめた。
その目はなにか言いたげだったが、なにを言いたいのかまではわからない。
大丈夫。今さらあなたの子だなんて言うつもりはない。
だから、もうこれきりにして。
私は心の中で唱えながら視線をそらした。
「ママ、ジュース!」
「うん。取りに行こう」