エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
宏希さんがドリンクバーも頼んでくれたので立ち上がったのに、「自分で行けるもん!」と和宏はひとりで行ってしまう。
最近、なんでもひとりでしたがるのだ。
しかし、ふたりで残されると気まずくて顔を上げられない。
「俺、事故の日より前の三年分くらいの記憶がそっくり飛んでるんだ。沖から波多野さんのことはいろいろ聞いた。同棲していたんだよね」
やはりまだ記憶が戻っていないのか。
「……はい」
沖さんから聞いているのなら隠しても仕方がない。
正直に答える。
「あの日、どうして病院にいたのかと沖に聞かれたけど、どうしてもわからなかった。でも、もし……」
そこまで言った宏希さんは、コップを手にして順番待ちをしている和宏に視線を送る。
「なにを勘ぐっているんですか? 病院にいたのは偶然です」
「けど、和宏くんは四歳だ。俺が父親でないのなら、波多野さんは別の男とも付き合っていたというの?」