エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「沖に相談したら、誕生日かなんかだろうと言われて打ち込んだのに開かなくて……。アイツがそれなら波多野さんの誕生日じゃないかって。入れたら見事に開いた。それでメールを発見したんだ。沖には、互いの誕生日をパスにするくらいお前は浮かれてたんだよと笑われた」
沖さんがそんなことを……。
たしかに私たちは浮かれていたかもしれない。
もちろん仕事中は上司と部下として振る舞ったし、恋人だからといって優遇してもらったこともない。
でも、互いの誕生日をパスにするような些細なことで、どれだけ忙しくても、なにかにつまずいても、乗り越えられるくらいの気持ちの高ぶりがあったことは否定しない。
結婚間近だったのだから、幸せの絶頂期と言ってもいい。
「俺……波多野さんのことを思い出せないくせに、パスのことやその中の資料を見ていたら、無性に胸が熱くなって」
「えっ……」