エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
自然と手をつなぐふたりのうしろ姿を見ていると、胸が震える。
同じ血が流れているのに、親子だと打ち明けられないもどかしさで苦しくて息ができない。
あのときした選択は間違っていたのだろうか。
けれど……もし妊娠を告白したら、和宏はこの世に誕生しなかったかもしれないのだ。
逃げること以外選ぶ道はなかった。
和宏が戻ってきてからは笑顔を心がけた。
せっかく楽しそうにはしゃいでいるのだから、このひとときだけでも気持ちよくすごしたい。
「僕、サッカー選手になるんだ」
「先週までは野球選手だったでしょ?」
自信満々で語る和宏に口を挟むと、宏希さんが白い歯を見せる。
「いいよな。俺だって最初は野球選手で、その次は水泳選手で、そのあとがお医者さんだったんだ。いっぱい夢はあったほうがいい。新しいサッカーボール、プレゼントしようか」
「ホント?」
「いえっ、結構ですから」