エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~

おそらく公園で蹴っていたのが三百円ほどで買った安いゴム製のボールだったからだろう。
遊び道具にお金をかける余裕がない。


「俺がプレゼントしたいんだ」


宏希さんが言うと、和宏は「やった!」と大喜び。


オムライスをすっかり平らげたあと、宏希さんが車でアパートまで送ってくれた。

家を知られたくなかったので最初は断ったが、和宏がもっと一緒にいたいとただをこねるので根負けした。

宏希さんとのひとときが余程楽しかったようだ。


アパートの前に車を停めた宏希さんは、降りてきて和宏を抱き上げた。


「今度はボール持ってくるから。また遊ぼうな」
「うん! オムライスも食べようね」
「あはは。そうしよう」


勝手に約束されて困惑した。
でも、和宏の笑顔が見られたのは素直にうれしい。


「波多野さん、連絡先教えてくれないかな」
「それは……」


彼と再びつながるのが怖い。
私はまだ宏希さんのことが好き、だからだ。
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