エリート御曹司は溺甘パパでした~結婚前より熱く愛されています~
「はい」
宏希さんは気持ちを切り替えるようにキャップを開けたボトルを私に渡し、交換した。
私の分まで開けてくれたのだ。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
緊張が走った空気を和らげようとしているのか口角を上げる宏希さんは、スポーツ飲料をゴクンと喉に送る。
私にはない大きな喉ぼとけが上下に動くのが視界に入って、一瞬ドキッとした。
「和宏くん、サッカーうまいね。サッカー選手になれるかも」
褒められて照れくさいのか、和宏は私に抱きついてくる。
「あおらないでください。本気にしますから」
「いや、やる気が一番さ。サッカーチームに入って練習したらいいのに」
彼は軽い気持ちで口にしたのだろうけど、経済的にそんな余裕はどこにもない。
生きていくだけで精いっぱい。
「ママ、サッカーチーム入りたい」
「……うん。ごめんね。ちょっと無理かも」