秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 靭也の部屋に着くと、灯りもつけないうちに抱きすくめられた。

「もうずっと、長い間、自分の気持ちを抑えてた」
「靭……にいちゃん……」

「夏瑛のことが大切すぎて、壊れやすいガラス細工のように思ってた。自分の欲望をぶつけたら粉々に砕けてしまうんじゃないかって。でも、それが夏瑛を不安にしてたんなら、おれが間違ってたんだな」

 靭也の唇が夏瑛の唇に重なる。
 これまで幾度、唇を合わせたかわからない。
 でも、そのどれとも違う。
 今、交わしているキスは、このまま、燃え尽きてしまうのではないかと思うほどの熱を孕んでいた。

 キスを繰り返しながら、重なり合って奥のベッドに倒れ込む。
 あの時と同じ眼差し。
 炎のように妖しくゆらめく、靱也の濃紫色の瞳。
 でも今は怖れなんて、微塵もない。

 夏瑛は、身体を内側から溶かしてしまうようなその熱情に素直に身を任せた。

 
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