秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
「いや、怖い……」
「目を開けてごらん」

 首を振っていやという意思表示をしたが、靭也は二本の指で夏瑛の眉間を優しく撫で、ふたたび言う。

「目を開けて、こっちを見て」

 スローモーションのようにゆっくり目を開けた。

 目の前に愛おしくてたまらない靭也の顔がある。

「ゆき……にいちゃん」

「夏瑛……夏瑛とひとつになりたい」

 そう。自分も同じ気持ちだ。
 夏瑛はふっと全身の力を抜いた。

 そのあと、覚えているのは、靭也に貫かれたときの衝撃と、靭也とつながっているという言いようのない充足感。

 初めて男性を受け入れた肉体的な痛みはあったが、靭也と本当の意味で結ばれたうれしさが数千倍も数万倍も上回っていた。
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