秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 遠くで小鳥のさえずりが聞こえた。
 ひんやりとした空気が部屋中に満ちている。

 まだ薄暗い。明け初めの淡い光が窓を青白く染めている。

 天井に目をやると自分の部屋ではない。

 夢の続きを見ているのかもしれない。
 寝ぼけていて、まだ思考はあやふやだ。
 腕にしびれを感じて寝返りをうった。

「起きたのか……」
 思わぬところから声が聞こえ、びくっとする。
 寝起きの、かすれた声。
 肘枕をした靭也が、夏瑛の顔を見つめている。
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