秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
「雨降って、地固まったってとこかな?」

 美岬に教室でささやかれ、靭也と過ごした夜の記憶がまた脳裡によみがえり、頬が上気してくるのがわかった。

「あっ、やらしいこと考えてるでしょ、今」
 美岬にからかわれる。

「もお、他の子に聞かれたらどうするのよ」
 夏瑛は小声で文句を言った。

「でも、あの時はありがとう。お母さんにうまく言ってくれて。おかげで助かった」

「ふふっ。そういう勘はするどいからね。あたしは」

 あの日、母親には美岬のところに泊まると言ってごまかした。

 美岬から『この後、もし靭先生と一緒に過ごすんなら、お母さんにあたしのところに泊まるって言っていいよ』

 〝cheer up!〟のスタンプと一緒にそんなメッセージをもらっていた。
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