秘密の恋はアトリエで(前編) 続・二度目のキスは蜂蜜のように甘く蕩けて
 靭にいちゃんのところに行くなんて、一言も言っていなかったのにと美岬に聞くと、
「そんな驚くほどのこともないでしょ。あの状況だったら一緒にいたいって思うのが人情だもん。で、どうだったの? ご感想は?」

 わざとらしく声をひそめて、美岬が訊く。

 夏瑛は、今度は火がついたように頬を真っ赤にした。
「こ、こんなとこで話せないよ」

「うそうそ、冗談だよ。もう、なんでそんな素直に反応するのかな。夏瑛ちゃんは」

 アリスに出てくるチェシャ猫のように、顔中を口にして笑っている美岬の背中を思い切りひっぱたいた。

「いっ、痛ぁー」

「自業自得!」
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