陰の王子様
…………
あれ…、え、この方って……。
「だ、第二、王…子?」
「あ、やっぱ分かる?分かるってさイオ様」
え、本当に!?
…いや、遠くから見たことはあるし、……それに、服装が格段に違うけど…、本当に王子で合ってるの、か。
「あ、あの、すみません。勝手にこのようなところに入ってしまい…。」
「いや、良い。どうせサンチェが連れて来たんだろう。」
「その通り。俺、良いことしたでしょう?」
「……まあな。」
……どうやら怒ってはいないみたいだ。
と、なれば、やる事は1つ。
「では、私はこれで、失礼します。」
急いで出て行こうとした私
けど、第二王子の後ろから見覚えのある人が出て来たため、思わず足を止めた。
「久しぶりだな。」
「ロ、ローガンさん…。」
優しい笑みを浮かべるローガンさんに何故か涙が溢れそうになる。
「レティシアお嬢様、よろしければお茶でもいかがでしょうか。」
今度は台を押した使用人さんがやってきて、私の返事を聞くまでもなく中庭にお茶会をセッティングし始めた。
あっという間にテーブルやら椅子やらが用意され、日差し避けもある。
流されるまま、席に座り、次々に並ぶ綺麗なお菓子を目に、なんとか冷静を装う。