陰の王子様
「黒色の短い髪の女性が騎士服を着た男性と会っていたと、私の侍女が言っていたの。」
思わずライラ様の後ろに立つ女性に目をやれば、すぐに目を逸らされてしまった。
…まさか、嘘を仕立てられてる?
騎士と会っていないし、見るからにライラ様の後ろに立つ女性は私と目を合わせたくないみたいだ。
「私は、そのようなことはしておりません。他の誰かと見間違えたのではないでしょうか。」
「あら、そんな髪の女性が貴方の他にいるって言うの?」
くすくすと笑うライラ様
私は反射的に手を頭に乗せていた。
頭の頭頂部分はもう黒ではなくなっている。
「おかしな色ね。…まさか、髪を染めていたなんて。何かやましいことがあるからでしょう?」
私を見下ろすように顎を上げたライラ様は腕を組んで、高圧的に言った。
「緊急事態ですの。だから、これからキース公爵とコヴィー家当主、そして、イオ様がここに来るわ。」
「その醜い本物の姿を晒すことね!」
そして私は、ライラ様が引き連れて来た使用人さんたちに囲まれ、応接室のような部屋に連れてこられた。