陰の王子様
小さな震える手を私も必死で包み込む。
「……他に、証拠は。」
「侍女が見ていますもの、それだけで十分証拠になりますわ。」
「ないのなら、この話はなかったものとみなす。」
そう言って立ち上がるイオ様
それと同時にライラ様も立ち上がった。
「イオ様!疑わしい者はここから出すべきです!イオ様の妃に相応しくありません!」
「相応しいかどうかは俺が決める。」
ドアに向かって歩き出そうとしたイオ様を見て、ライラ様は手にしていた扇子を放り投げ、私の側にやって来た。
そして、手を首元に伸ばすと、私の首が引っ張られる。
「この女、このようなものをつけています!これは男から貰ったものに違いありません!」
長い爪で引っ張っているのは、私の首に長年あるネックレス