1日限定両想い

『ほんまに来た。』

「なにそれ。」


ドアを開けた瞬間、渉さんが驚いたように呟く。

昨日竹石先生と会った後で明日行くと連絡したけれど、急すぎて冗談だと思っていたようだ。



「来るって言ったじゃん。」

『若いってすごいな。』


首を傾げながら部屋に入って行く渉さんがおかしくて、その背中に飛び込んだ。

うわっと驚きながらもしっかり受け止めてくれる背中は広くて、頼もしい。



「急に会いたくなったの。」


ぎゅっとしがみつくと、回した手をそっと握ってくれる。

何も言わないときは、照れているとき。

そんなことも、1年半の付き合いの中で分かるようになった。



『もうすぐ毎日一緒におれるようになるからな。』

「うん。」


大阪で暮らすと決めたのは私だった。

渉さんは東京へ行くと言ってくれたけれど、せっかく大阪で教師に復帰した渉さんの生活を壊したくなかった。


生まれ育った東京を離れることへの不安は、不思議なくらいになかった。

渉さんと一緒にいることの安心感の方が、ずっと大きかったから。



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