秘密の片想い

 事務所に戻り、私と交代でお昼休憩に向かう真里奈にぼやく。

「誰が、紹介してください、よ」

 真里奈は、とぼけた顔で「私より志穂さんの方がお似合いですから」と、平気でとんでもないことを口にする。

「やめてよ」

「いいじゃないですか。恋しちゃいけない、なんて決まりあります? 志穂さん、フリーなんですから」

「それは」

 だからって、私には無理だ。

 黙ってしまった私に、真里奈は軽く笑い飛ばして言う。

「ま、そんなに重く考えないでくださいよ。本社の代理店営業の人に、私が仕事できるって売り込んでくださいね!」

「そんなの、真里奈は自分でやった方がうまくいきそう」

「なに言ってるんですか、人伝えに聞いた方が信憑性があるんですよ。何事も」

 したり顔で言う、真里奈に吹き出してしまった。

「やだな。私、本気なのに」

「ごめん。ごめん。そうね。三嶋に伝えておくわ。真里奈は仕事もバッチリだって」
< 17 / 89 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop