溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~【番外編】
「ごちそうさま」
にぎやかな夕食を終えて、玄関ホールで広海さんを見送る。
「とっとと帰れ」
拓海さんが素気なく言う。けれど広海さんはちっとも気にしてないようだ。
「はい、はい。邪魔して悪かったです。じゃあ、兄貴も菜々子さんも、月曜日の業務に支障が出ないように、ほどほどにな」
広海さんが背中を向けて手をヒラヒラと振り、玄関のドアを開けた。
「……っ!」
そんな大きな声で、恥ずかしいことを言わないでほしい……。
「広海っ!」
うつむく私の背後から、広海さんを注意する声が響いた。
「さっきは広海が変なことを言ってすまなかった」
「いいえ。ヤンチャな弟を持つと大変ですね」
「もうすぐアイツが、義理の弟になるんだぞ」
「そうですね。なんか変な感じ」
クスクスと笑いながら、リビングに戻った。
「今度こそ続きをしよう」
「……んっ!」
腰に腕が回って力がこもり、瞼を閉じる間もなく唇を塞がれてしまった。
一度重なった唇が離れ、またすぐに触れ合う。
「菜々子、愛してるよ」
「私も……」
しばらく会えなかった寂しさを埋めるように、ついばむようなキスの合間にお互いの思いを伝え合った。