溺愛依存~極上御曹司は住み込み秘書を所望する~【番外編】

「ごちそうさま」

にぎやかな夕食を終えて、玄関ホールで広海さんを見送る。

「とっとと帰れ」

拓海さんが素気なく言う。けれど広海さんはちっとも気にしてないようだ。

「はい、はい。邪魔して悪かったです。じゃあ、兄貴も菜々子さんも、月曜日の業務に支障が出ないように、ほどほどにな」

広海さんが背中を向けて手をヒラヒラと振り、玄関のドアを開けた。

「……っ!」

そんな大きな声で、恥ずかしいことを言わないでほしい……。

「広海っ!」

うつむく私の背後から、広海さんを注意する声が響いた。



「さっきは広海が変なことを言ってすまなかった」

「いいえ。ヤンチャな弟を持つと大変ですね」

「もうすぐアイツが、義理の弟になるんだぞ」

「そうですね。なんか変な感じ」

クスクスと笑いながら、リビングに戻った。

「今度こそ続きをしよう」

「……んっ!」

腰に腕が回って力がこもり、瞼を閉じる間もなく唇を塞がれてしまった。

一度重なった唇が離れ、またすぐに触れ合う。

「菜々子、愛してるよ」

「私も……」

しばらく会えなかった寂しさを埋めるように、ついばむようなキスの合間にお互いの思いを伝え合った。

< 8 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop