みだらなキミと、密室で。
「あいつのせいで私の心はぐちゃぐちゃにされたの。もう友達には戻れないと思ってたし、そもそもあの時間をなかったことにされてるような気分だったし。それなのに、今、なんともないみたいに急に絡んでこられちゃ、こっちもどうしていいかわかんないわけで……」
「なるほどね……」
「うぅ、ほんとこんなつまんない話ごめん……」
チラッと教室の時計を確認すれば、30分過ぎている。
完全に喋り過ぎた。
依茉ちゃんに退屈な思いさせちゃってるんじゃないかと思って慌てて謝る。
「つまんないわけないでしょ!海風が悩んでるときにこんな言い方していいのかわからないけど、私、今すっごく嬉しいよ」
「……え」
依茉ちゃんがフワッと微笑んで口を開く。
「海風と共通の趣味を話せる時間はすごく宝物だし毎日楽しい。転校ってすごく不安だったけど、海風に出会って、私、転校して本当に良かったって思ってるの。それと同時に、もっと海風のこと知りたいなって」
「依茉ちゃん……」
「海風って、あんまり自分から悩みとか話さないでしょ。家のこととかきっと大変なはずなのに」
目を伏せて、私の手に再び触れた依茉ちゃんの暖かさに無性に泣きそうになる。