一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
気のせいだろうか。
咳が収まったような気がする。
それに身体がだいぶ楽になったような。
『ありがとな』
璃子の頭を撫でていたら、彼女の声が遠くから聞こえてきた。
「……く、匡、起きて!ヒゲが当たって痛い」
ヒゲが当たって痛い?
ハッとして目覚めれば、璃子をギュッと抱き締めていて、彼女が苦しそうにしていた。
「あっ、悪い」
そう謝りながら抱擁を解いて起き上がる。
懐かしい夢だったな。
俺が登山で風邪をこじらせて気管支炎になった時の夢。
「匡、なんかいい夢でも見たの?笑ってたよ」
ベッドから起き上がる璃子の質問に、ニヤリとして答える。
「美女に囲まれる夢」
「わ〜、やっぱり変態」
軽蔑するような目で俺を見て、彼女は俺に枕を投げつけたがひょいと避けた。
「俺、髭剃ってくる」
顎に手を当てながら洗面所に行き、歯磨きをして身だしなみを整えて部屋に戻ると、璃子はもう着替えていた。
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