一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「真面目な話。自動車業界でいずれ世界一になってやる」
トーストにかじりつきながらニヤリと笑う彼。
その目はキラキラしていて、不覚にもときめいてしまった。
「言うのは誰でも言えるけどね」
匡から視線を外し、わざと彼を挑発するような言葉を投げた。
だけど、本当は彼が言うんだから実現も夢ではないかもって思う。
十年後か二十年後か……。
でも、私はもうその時にはこの世にはいない。
ああ、もっと時間が欲しい。
そしたら、匡が天下取るとこ見られるのに。
彼といられるなら、あと三ヶ月の命でもいい。
そう思ってたのだけど、人間って欲が出る。
もっと彼と一緒に過ごしたいと願ってしまう。
だが、私は末期ガンだもの。無理だ。
じっとカップの中のスープを見ていたら、彼に頭をツンと突かれた。
「まあ見てろ。今に世界一になってやる」
そう堂々と宣言する彼に曖昧に返した。
「まあ頑張って」
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