一生、俺のそばにいて~エリート御曹司が余命宣告された幼なじみを世界一幸せな花嫁にするまで~
「ホント、あんたは王様か」と故意に眉間にシワを寄せて見せたが、内心では喜んでいた。
新婚さん気分。
ネクタイを手に取り、前に匡にレクチャーされた通りに結んでいたら、彼の視線を強く感じた。
「ちょっと。そんな見られると顔に穴が空きそうなんですけど」
じっとりと彼を見て抗議したら、不機嫌顔で言い返された。
「他にどこを見ろって言うんだよ」
どこって言われても困る。
「壁時計とか見ててよ」
適当に答えたら、匡は私の目を見てクスッと笑った。
「イチイチ煩いね、お前」
これだけの至近距離のやり取りはいくら幼馴染といえども緊張する。
「お黙りなさい」
胸のドキドキが止まらなくて、照れ隠しにそんな憎まれ口を叩く私。
好きって告白出来たらどんなにいいだろう。
……バカね。
匡と両思いになれるわけでもないし、それに私はもう長く生きられない。
そう考えたら、スッと心の中が冷えていくのを感じた。
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